現在開催中の『FANTASTICA MANIA』シリーズ。
1月10日の初日以外は新日本プロレスワールドでの観戦も出来ず寂しい期間になるかなと思っていましたが、そんなことはいらない心配でした。
バックステージではいつも以上に熱く、見逃せない展開が繰り広げられました。
その展開とは・・・
ヤングライオン vs ヘビー&ジュニアのチャンピオン
辻選手と上村選手が交互に棚橋選手&ドゥルセ選手とタッグを組み、内藤&ヒロム&BUSHI組と当たる『FANTASTICA MANIA』前半の4連戦。
ヤングライオンの彼らにとっては、目の前にシングル王座トップのベルトが2本同時に並ぶ滅多にない大チャンス。内藤選手も初日から「分かってるか?」と問いかけるように辻選手にツバを吐き、ヒロム選手も初日のバックステージからヤングライオンについて言及します。「元気が一番。元気だけでいいんだ。」と。それだけでいいのか?と問うように。
チャンピオンからの問いかけに答えるように、ヤングライオン達はバックステージでそれぞれの目標を口に出し始めます。
そんな中、チャンピオンを振り向かせたのは、上村選手でした。
上村優也の野望
1月11日、内藤&ヒロム&BUSHI組との対戦後、上村選手はその野望についてコメントを残します。
上村「ボクが狙ってるのはIWGPジュニアのベルトなんで。今年の『(BEST OF THE)SUPER Jr.』に出て、そこで優勝して、結果を残して、今年中にIWGPジュニアのベルトに挑戦します。」
出典:新日本プロレスリング
ヤングライオンながら、はっきりとIWGPジュニアへの挑戦を主張した上村選手。
翌日1月12日、早速ヒロム選手が反応します。
ヒロム「どう思う?どう思う?なぁ?上村がいいコメント出してるぞ。このベルトさんをどうやら狙っているらしい。いいじゃないか、そういう反応。オレだってヤングライオンの時、やたら言ってたよ。やたら言ってた。いいじゃねぇか。それが新日本プロレスのヤングライオンらしさだ。挑戦できるかわかんないけどな。わかんないけど、オレの中では、頭の中にいるから。」
出典:新日本プロレスリング
ここまででも、かなり熱い展開です。
上村選手、現チャンピオンのヒロム選手にしっかり気持ちが伝わってるよ〜と嬉しく思っていました。
しかし、ここまではヤングライオンでなくても度々見られるやり取りです。今回も言葉を間接的に交わしただけで終わると思っていました。
しかし、1月13日のバックステージで思いもよらないことが起こります。
チャンピオンからの逆水平のエール
内藤&ヒロム&BUSHI組との対戦の後、上村選手はバックステージで再び野望を口にします。
上村「今デビューして2年で、顔じゃないとか思う人、大勢いると思うんですけど、ボクからしたらもう2年なんで、若手とかそんなもんじゃないです。ジュニアのチャンピオンに(挑戦を)名乗り出る人がいないなら、僕がいきますよ。」
出典;新日本プロレスリング
この後、なんとヒロム選手が飛び込んできて
ヒロム「上村、面白かったぞ。お前のそういうとこ、オレは好きだぞ。面白かった、面白かった。もっとやれ。関係ねぇ。誰がなんと言おうと関係ねぇからな。もっとやれ。(逆水平チョップを1発打ち込んで)もっとやれ。」
出典:新日本プロレスリング
この後、涙を流しながら『BEST OF THE SUPER Jr.』への出場を叫んだ上村選手。
なんと熱い展開か・・・バックステージコメントを読みながら目頭が熱くなるのを感じました。
これからしばらくはチャンピオンとの直接の接触はない上村選手。ですが、チャンピオンから受けた熱い逆水平のエールを忘れることはないでしょう。そしてチャンスがあれば、ガムシャラに掴みに行ってくれるはずです。ぜひとも上村優也を『BEST OF THE SUPER Jr.』に!
なぜ上村だけチャンピオンの行動を引き出せたか
『FANTASTICA MANIA』シリーズの4日間。
辻選手と上村選手は、ジュニアとヘビーの両チャンピオンを相手にする中で、ともにバックステージで目標を口にしていました。しかし、どちらがよりチャンピオンの気を引けたか、という点に関してはヒロム選手の逆水平を引き出した上村選手の圧勝でしょう。
なぜ差がついたか。
それは、上村選手の方が、
"いま"目の前のチャンスに対する執着を見せた
からだと思いました。
「『BEST OF THE SUPER Jr』で優勝して、今年中にIWGPジュニアに挑戦する。」
「他に名乗り出る人がいないなら、自分がいく。」
ベルトに到達する過程の目標も掲げつつ、チャンスがあるなら逃さないという貪欲さも見せた上村選手。対して、辻選手は、最終日に「将来、その時がきたら」と述べるに留まりました。辻選手はIWGPの価値をしっかり理解しているからこその発言だったかと思いますが、その謙虚さは今回必要ありませんでした。
それは
内藤選手もヒロム選手も"いま"がいかに大事か
ということを身にしみて理解している選手だからです。
内藤選手は2019年、右目の不調で約半年の間、引退の不安と戦っていました。
https://www.tokyo-sports.co.jp/prores/njpw/1683471/
コメントの中に「"いま"の内藤哲也を見て欲しい」という言葉が多く使われるようになったのも、もしかしたら自身の引退を見つめる期間があったことからかもしれません。
ヒロム選手は言わずもがな、首の骨折で長期欠場していました。負傷当日「これはやったな」と、引退を覚悟したヒロム選手は、力を振り絞り、"引退試合"を戦い抜き、勝利を収めました。
両選手ともいつまでプロレスが出来るか分からないことをその身で知っています。
だからこそ、
"いつか"ではなく"いま"のチャンスを掴もうとする上村選手のコメントが、ヒロム選手を振り向かせたのではないでしょうか。
辻選手もいつかと言わず、いま目の前にあるチャンスに食らいつくコメントが出来ていれば、もう少し、内藤選手の反応を引き出せたかもしれません。
辻選手と上村選手はもうすぐデビューして丸2年になります。
しかし、後輩のヤングライオンはまだデビューしていません。そのため、辻選手と上村選手は今までのヤングライオン以上に海外遠征もしくはヤングライオン卒業までの期間が長くなることが予想されます。
長いヤングライオン時代の中で何を成すか。
2人とも実力は十分についていると思います。あとはチャンスをつかめるか。
この2人なら、今までヤングライオンでは成し得なかった"なにか"を達成してくれると信じています。
ではまた!